ネットワーク上の名誉毀損と管理者の責任

ネットワーク上の名誉毀損と管理者の責任

白田 秀彰

多くの市民がコンピュータ・ネットワークを利用するようになり、これまで限られた趣味人たちの領域だったコンピュータ・ネットワーク空間がしだいに現実社会との接点を拡大するようになっている。このネットワーク空間と現実社会との接点が大きくなると、現実社会の法制度が、ネットワーク空間との関りを持つようになる。こうした動きを市民に認識させたのが、今年4月に東京地裁に提訴されたネットワーク上の名誉毀損事件である。このレポートではこの事件を素材に、アメリカの不法行為法(tort [1]) の一領域である名誉毀損(defamation [2]) を応用しながら、ネットワーク管理者の責任を検討する。

1 日本におけるネットワーク名誉毀損事件

1.1 事件概要

パソコン通信の大手商用ネットワーク「ニフティサーブ」に加入している東京都北区の女性 (33) が、会員が自由に書き込み・閲覧ができる「電子会議室」で、他の会員によって名誉毀損にあたる発言を頻繁に書き込まれたとして、ネットワークを運営するニフティ(東京都品川区、岡田智雄社長)と電子会議室を管理するシステム・オペレーター(シスオペ)、書き込みをした会員を相手どり、200 万円の損害賠償とネットワーク上での謝罪広告掲載などを求める訴訟を 21 日、東京地裁に起こした。

訴えによると、女性会員は 88 年にニフティサーブに加入。会員同士が意見交換などをする複数の「フォーラム」に参加してきたが、昨年 11 月頃から今年 4 月にかけて、このうちの一つの「現代思想フォーラム」の電子会議室で、個人情報を公開していない匿名会員の一人から、20 回以上にわたって名指しで名誉を著しく傷つけられる書き込みをされたという。

女性会員は運営会社のニフティとシスオペに問題の発言の削除を求めたが、一部が削除されただけで、大半は放置され、書き込みをした会員の氏名や住所もニフティ側は電気通信法の規定を根拠に開示しなかったため、結果として被害が拡大。書き込みをした会員だけでなく、対策を取らなかった会社とシスオペも責任を負うべきだとしている [3]

1.2 法律上の論点

このレポートでは、ネットワークの管理者について注目するので、実際に名誉毀損的内容の書き込みを行ったL氏については考察しない。

1.2.1 原告側の主張
民法第709条 不法行為の要件と効果
故意又ハ過失ニ因リテ他人ノ権利ヲ侵害シタル者ハ之ニ因リテ生シタル損害ヲ賠償スル責ニ任ス
民法第710条 非財産的損害の賠償
他人ノ身体、自由又ハ名誉ヲ害シタル場合ト財産権ヲ害シタル場合トヲ問ハス前条ノ規定ニ依リテ損害賠償ノ責ニ任スル者ハ財産以外ノ損害ニ対シテモ其賠償ヲ為スコトヲ要ス

原告側は(1)名誉毀損的な内容の発言を放置した不作為による故意、とくに原告からの削除要求がされた後も名誉毀損的内容の発言の一部が放置されたことについての故意 (2)削除義務の存在を前提として、その義務を履行しなかった過失を主張する。侵害された法益は人格権である。ネットワークでは変名・通称[4] で会議室を利用することが多いが、原告は自らの会員情報を公開しており、通称から本人を特定することが容易だったことから本人に対する名誉毀損が成立するとする。損害については、精神的損害の他に、住居を変更しなければならなくなったなどの経済的損害もあるとする。削除要求については、「名誉侵害の被害者は、人格権としての名誉権に基づき、加害者に対して、現に行われている侵害行為を排除し、または将来生ずべき侵害を予防するため、侵害行為の差止を要求することができる [5]」とする。

民法第715条 使用者の責任
或事業ノ為メニ他人ヲ使用スル者ハ被用者カ其事業ノ執行ニ付キ第三者ニ加ヘタル損害ヲ賠償スル責ニ任ス但使用者カ被用者ノ選任及ヒ其事業ノ監督ニ付キ相当ノ注意ヲ為シタルトキ又ハ相当ノ注意ヲ為スモ損害カ生スヘカリシトキハ此限ニ在ラス (2) 使用者ニ代ハリテ事業ヲ監督スル者モ亦前項ノ責ニ任ス(3)[省略]

不法行為の成立を前提として、被告ネットワーク運営者(Nifty) および被告会議室管理者(Sysop)の間には雇用関係が存在し、仮に削除義務がSysop側にあったとしても、使用者責任によってNifty側も連帯して責任を負うと主張する。また、原告は名誉毀損的内容の削除をNifty側に対しても直接行っているが、このとき、Nifty側がこの請求の履行を Sysopに一任する態度を取り、結果として損害が生じたことから、事業の監督で、相当の注意が払われていなかったとする。

民法719条 共同不法行為の責任
数人カ共同ノ不法行為ニ因リテ他人ニ損害ヲ加ヘタルトキハ各自連帯ニテ其賠償ノ責ニ任ス共同行為者中ノ孰レカ其損害ヲ加ヘタルカヲ知ルコト能ハサルトキ亦同シ (2)[省略]

使用者責任の成立を前提として、不法行為責任は、Nifty、Sysopいずれにも生じているので、これは共同不法行為に該当し、したがって、共同で損害賠償にあたらなければならないとする。

著作権法第2条1項9の2および9の3号
有線放送 有線送信のうち、公衆によって同一の内容の送信が同時に受信されることを目的として行うものをいう。有線放送事業者 有線放送を業として行う者をいう。

Niftyが行っている事業は第二種電気通信事業 [6]に該当し、電気通信事業法によって規定されているので、同法第3条(検閲の禁止)第4条 (秘密の保持)の義務が存在する。(詳細は後述)これが認められれば、通信内容の削除に対して被告側が消極的だったことが正当化される可能性がある。また通信における名誉毀損の成立については放送のそれと比較して根拠が弱まる(判例が少ない)ので、原告は著作権法の規定を援用して、Niftyの事業が「有線放送」に該当することを主張し、放送事業者に対して課せられてきた不法行為責任を主張しようとしている。

1.2.2 被告側の主張
憲法第19条 思想および良心の自由
思想および良心の自由はこれを侵してはならない。

憲法第21条 集会・結社・表現の自由、検閲の禁止、通信の秘密
集会、結社および言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。(2)検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。

電気通信事業法第3条 検閲の禁止
電気通信事業者の取り扱いに係る通信は、検閲してはならない。

電気通信事業法第4条 秘密の保護
電気通信事業者の取扱中に係る通信の秘密は、侵してはならない。

Nifty側の事業が第二種電気通信事業であるので、NiftyおよびSysop側は、通信内容について介入することができない、あるいは削除要求に対して慎重な対処をしなければならなかった。したがって、被告側は事業の運営に対して「其事業ノ監督ニ付キ相当ノ注意ヲ為シタル」場合に該当し過失が存在しないと主張する。とくにNiftyは、電気通信事業法の規定により、会議室の運営に関して直接の関与を持たず、側面的にSysopを援助する関係にあったとし、そこで行われた不法行為について責任を負わないと主張する。

ネットワーク上の名誉の不明確さ
ネットワークで侵害された対象は原告のハンドルであるので、実在の原告本人ではなく、また侵害された名誉は原告本人の名誉とは直接関係しないと主張する。また、名誉毀損によって生じた社会的評価の低下の程度は明確でないので、本事件が直ちに名誉毀損に該当するものではないと主張する [7]

NiftyとSysopとの間の契約関係
とくに、SysopはNiftyとの契約関係でNiftyの被用者ではなく、会員に電子会議室を利用させる限りでの管理を行う義務のみしか負わず、したがって、Niftyの会員規約から解釈しうる会員に対する安全配慮義務について、責任を負わないと主張する。逆にNifty側はSysopとの契約関係について、雇用契約ではなく、委任もしくは請負関係に類似した法律関係であり、独立的なものであるので、会議室の運営についてNiftyは監督責任を直接には負わないと主張する。

2 ネットワーク管理者の責任

2.1 伝統的なdefamationの要件

名誉毀損は情報伝達に関する不法行為に適用され、コモン・ロー上の名誉毀損については、名誉毀損的内容の著者(author)のみならず、配布者 (republisher)も同様の責任を負うものとされるが、配布者が内容に関与していない場合は配布者は免責される。コモン・キャリア (公共運送人/通信業者) [8] については、その性質上内容に対する関与が禁止されているので、原則として名誉毀損的内容の伝達ついて責任を負わない [9]

コモン・ローは文書誹謗による不法行為と口頭誹謗による不法行為の区別を発展させてきた。口頭誹謗は口頭による発言、あるいはある程度の時間的永続性を持つ媒体に固定されていない内容について成立する。文書誹謗はより時間的永続性を持つ媒体に固定された内容を公表することで成立する [10]

文書誹謗を立証するために原告側が証明しなければならない要件

  1. (1)伝達された内容が虚偽(false)であり、かつ(2) 原告の社会的評価を低下させる内容(defamatory)であること。

  2. 公表(publication)されたこと。公表の要件として(1)被告の故意(intention)、あるいは過失(negligence)で行われたこと、(2)対象となる内容の伝達 (communication)であること、(3) その内容が原告以外の第三者に伝達されたことが必要である。

  3. 被告側の過失(fault)によってなされたこと。配布者の過失責任については次のとおり。(1) 特定の内容に関して著作者に信頼がおけない場合、かつ (2) 配布者が名誉毀損的な内容であることを知っていた場合、配布者にはその内容を訂正するかあるいは第三者の目に触れる前に削除する義務が生じる。したがって、配布者の過失とは、その内容の正確性を確認する努力が充分だったかという点に依存する。現行の過失の基準に従うならば、原告は被告の努力が合理的なものであるよりも少なかったことを立証すれば足りる [11]。文書誹謗の責任は伝統的なコモン・ローでは厳格責任(strict liability)であり、原告は被告の故意・過失の立証をすることなく不法行為責任を負わせることができた [12]。しかし、New York Times Co. v. Sullivan~事件[13] 以降、被告側の過失の存在についての立証責任を原告が負うように判例によって変更された。これは、厳格責任のもとで存在していた言論に対する抑圧効果(chilling effect) を緩和し、合衆国憲法修正第一条の表現の自由 [14]との均衡を維持するためである。

  4. 原告側に損害が生じていること。損害の立証については、(1) 内容それ自体が訴訟を基礎づけるにたる不法性を持つこと、および(2) 経済的損失を被ったことを示すことが必要である。現実の害意 (actual malice [15])が存在せず、かつ公益に関する事項についての内容に対して訴訟を提起する場合、公人および私人は現実に損害を被っていることを立証しなければならない。一方、公益に関しない事項について私人が訴訟を提起する場合、刑事罰に値する侵害および現実の損害を立証しなければならない。伝統的には、損害の立証は要件ではなかった [16]

2.2 免責特権

単に情報伝達の手段を提供しただけの伝達者は、名誉毀損による不法行為責任を回避することができる。すなわち、(1)伝達者が、伝達されている内容が名誉毀損的だったことを知らず、あるいは知り得べき状態でなかった場合である。また、そうだったとしても、(2) 著作者がそのような内容を公表する免責特権を与えられていたか、あるいは伝達者がその著作者が特権を与えられていたと信じるに十分な理由が存在した場合は免責される。また、伝達者がコモン・キャリアだった場合、免責特権が推定されるので、伝送者が名誉毀損について知り、あるいは知り得べきであり、かつ著作者に特権が存在しないことを知り、あるいは知り得べきだったことの立証責任が原告に移転する [17]

逆に伝達者が伝達内容について介入していた場合、名誉毀損的内容について知りえたし、かつ知り得べき責任を負うことになる。したがって、十分な努力を払っていたことを伝達者が立証しない限り、責任が推定されると考えられる [18]

2.3 ネットワークへの応用

文書誹謗は、印刷された言葉か、あるいは、印刷された言葉と実質的に同じ程度の時間的継続性をもつ形態に表された言葉による不法行為である。電子的なデータベースに格納されたり、あるいは画面上に表示された言葉は、こうした時間的継続性について一定でない。しかしながら、ネットワークの利用者はコンピュータシステムの中に蓄積された内容を印刷することで入手することができる。そうすれば、それは時間的継続性を持つ文書を生み出すのであり、文書誹謗の要件に該当することになるとするのが一般的な見解である [19]

ネットワークの事業者および管理者は伝統的な文書誹謗における配布者あるいは伝達者に該当し、不法行為責任の発生要件もそのまま準用することができると思われる。ネットワーク上に掲載された内容については、不特定多数の利用者が参照することができるし、また、ネットワークへの掲載は第三者に閲覧されることを目的として行われるのであるから、電子掲示版(electronic bulletin board) への情報内容の登録行為はそれ自体で公表の要件を満たす。そこで、管理者が不法行為責任を負うのは、伝達内容について知っていたか知り得べきだったかという基準に左右されることになる。客観的な基準としては、管理者が伝達内容について何らかの操作(改変・削除)を行っていた場合、内容について知り得べき義務が存在するといえよう。この義務について過失が認められるのは、内容の正確性や名誉毀損的内容について検査するための合理的な努力を管理者が払っていたかどうかに依存する。

現実のネットワークでは全体として一日に数千にのぼる情報が交換されているので、ネットワーク管理者は、合理的な管理努力について立証することで、過失責任を回避することができるかもしれない。逆に、被害者あるいは第三者から名誉毀損的内容が掲載されている旨連絡がされていた場合には、不作為による過失が認められうる。

ニフティ事件への応用 ニフティ名誉毀損事件に応用するならば、 (1)原告から、会議室の内容について削除能力および削除権限をもっていた被告Nifty、Sysop両者に名誉毀損的な内容の削除請求が出されているので、配布者としての管理者側の不作為の不法行為責任が成立するといえよう。また両者の削除能力および削除権限について差異は認められないので、雇用関係の有無にかかわらず、共同不法行為の責任についても成立していると思われる。

また、(2)公表の要件についても、原告のハンドルと原告本人の同一性が第三者に対して認識されているので、原告のハンドルに対する誹謗の公表は、本人に対する誹謗の公表を成立させていると思われる。また、電子掲示版の内容は不特定かつ多数の第三者が自由に閲覧することができるので、Niftyの行っている事業が「通信」であるか「放送」であるかを問うことなく、公表が成立していると考えられる。

(3)免責特権については、Niftyが第二種電気通信事業者であることを考慮しても、Niftyは電子会議室の内容について編集著作権を主張していることから、コモン・キャリアとしての地位の主張は電子メールの場合に限られると判断される。したがって、SysopとNiftyとの間の契約関係が請負契約類似の関係だったとしても、Nifty側は免責されない。また、SysopはNiftyよりも会議室の内容について詳細に知りえたし、かつ削除権限を与えられているので免責されない。

(4)Niftyの会員規約 [20]には、Nifty側の広範な免責が規定されているが、Niftyと会員との間の契約関係を規定しているものであるとしても、これはNiftyと会員の間にネットワーク上で生じた損害についての債権債務関係の不存在を規定しているにとどまり、不法行為法の成立を妨げないものと思われる。

アメリカの名誉毀損の要件を適用する限り、ニフティ名誉毀損事件について被告側の不法行為責任は認められうると判断される。

今回の事件の背景には、昭和天皇崩御の際、天皇問題についての会議室の内容をNifty側が広範に削除したことに対する会員からの批判があり、この反動として、会議室の内容の削除に対して、運営者側が過度に慎重になっていたものと思われる。この管理者側の「行き過ぎた管理から、過剰な慎重さへ」という態度の揺れは、アメリカの商用ネットワークProdigyにも同様に見られ [21]、ネットワークが現実社会との接点を拡大するなかで、必然的に生じうる事件だったと言えよう。

Note

[1]
不法行為は、当事者間の合意を前提とする契約の違反とは区別され、契約あるいは当事者の意思とは関りなく、法によって課せられた義務に違反することである。ただし、法的義務が契約法上の義務と重なることもあり、契約違反あるいは不法行為のいずれに基づいても請求権が生じることがある。また同じ行為が犯罪と不法行為を構成することもある。不法行為法の一般的な成立要件は、(1)被告が原告に対して法的義務を負うこと、(2) 法的義務に違反すること、(3)それによる損害の発生である。これらの要件が満たされた場合、被告は原告に対して不法行為責任を負い、原告は被告に対する損害賠償請求権を得る。 コモン・ローのもとで発展した不法行為には多くの類型が有り、責任の性質、範囲、認められる抗弁・免責事由が類型によって異なる。不法行為責任には、故意、過失、厳格責任がある。故意による不法行為(intentional torts)は、他人の財産、財産件、人格権、身体の自由を正当な理由なしに故意に侵害する行為である。Assault and battery(不法な身体的接触)、conversion(横領)、false arrest(違法逮捕)、false imprisonment(違法監禁)、fraud(詐欺)、trespass(侵害)などがこの類型に入る。過失による不法行為(negligence)は、他人を被害の不当な危険から守るために法が求める基準に外れる行為である過失によって他人に損害を加える多様な行為を包含する独立の類型である。厳格責任 (strict liability)は、行為者の故意・過失に関りなく、発生した結果について賠償責任を問うものである。
[2]
文書(libel) あるいは口頭(slander)で他人の名誉・評判を傷つけ、その評価を下げる表現を公表することである。

文書・口頭による名誉毀損は不法行為とされるが、政府批判の言論を弾圧する手段として使われた歴史的経緯から、現在では名誉毀損に対する刑事訴追はほとんど行われない。自己に関する虚偽の情報が流されたため名誉を毀損された当事者は、民事訴訟によって損害賠償を請求できるが、その場合、被告によって原告に関する名誉毀損的表現がなされ、その表現が原告以外の第三者に公表され、原告の名誉・評判が侵害されたことが不法行為の要件とされる。ただし、slanderについては、実損害の発生が要件となる。伝統的には、真実であっても免責されないとされていたが、今日ではほとんどの法域で免責される。アメリカでは他人の名誉を侵害する表現は、合衆国憲法の保障する表現の自由の保護を受けないとされる。しかし報道の自由を守る必要がある場合には、名誉毀損の成立が制限される。例えば、公人の公事にかかわる報道については、ほとんどの場合、名誉毀損の成立が否定される。See New York Times Co. v. Sullivan, 376 U.S. 254 (1964).

[3]
日本経済新聞4月22日朝刊 (一部削除)
[4]
通常「ハンドル」と呼ばれる
[5]
「北方ジャーナル訴訟」最大判昭61/6/11民集40-4-872
[6]
電気通信事業法第2款第21条3項 特別第二種電気通信事業は、電気通信設備を不特定かつ多数の者の通信の用に供する第二種電気通信事業であって当該設備の規模が電気通信回線の収容能力を基礎として政令で定める基準を越える規模であるものおよび本邦以外の場所との間の通信を行うための電気通信設備を他人の通信の用に供する第二種電気通信事業とする。

[7]
名誉は各人がその性質・行状・信用などについて世間から相当に受けるべき評価を標準とするものであるから、ある行為が名誉毀損となるかどうかを決めるには、その行為の性質上一般に人の名誉を毀損すべきものであるかどうかを定めるだけでなく、その人の社会における位置・状況等を斟酌して審査しなければならない。大判明38/12/8民録11-1665
[8]
コモン・キャリアは輸送力に余力がある限り、いつでも誰に対してでも運送を引き受けなければならない。コモン・キャリアが運送引受の義務に反すると、刑事上の制裁および民事上の損害賠償責任を負う。
[9]
See Restatement (Second) of Torts S 581 cmt (1977).
[10]
See Restatement (Second) of Torts S 568 (1977).
[11]
Jr. Henry H. Perritt, Tort Liability, the First Amendment, and Equal Access to Electoronic Networks, Harvard Journal of Law & Technology, vol.5, (1992) p.101
[12]
See Id. at 100 , そこで引用されている判例は、Corrigan v. Bobbs-Merrill Co., 126 N.E. 260, 263 (N.Y. 1920).
[13]
supla note 2.
[14]
Congress shall make no law...abridging the freedom of speech, or of the press;...
[15]
コモン・ロー上は、害意あるいは不法な動機を指す。外的状況からして侵害を加える故意があったとされる場合をいう。名誉毀損訴訟では、表現の虚偽性についての無関心、無視慮な態度を指す。アメリカでは公人は表現者の堅実の害意を立証しなければならないとされている。

[16]
See Restatement (Second) of Torts S 569 cmt.b.
[17]
See Restatement (Second) of Torts S 612. 例示されていた判例は Anderson v. New York Tel. Co., 320 N.E.2d 647 (N.Y. 1974).
[18]
Perritt, supra note 11, at 103
[19]
See Id. at 97 n.149
[20]
ニフティ株式会社, NIFTY-Serve会員規約, (1993)
[21]
Prodigyは1991年に、ネットワーク使用料金の値上げをすると発表した。この値上げに反対する人々のネットワーク上での議論を、ネットワーク管理者が禁止したため、管理者側は市民権運動団体から合衆国憲法修正第一条の権利を侵害する行為であると激しく批判された。この激しい批判の反動として、管理者は会議室の内容の削除に過度に慎重になり、ある会議室で反ユダヤ主義的な議論が進展しているのを看過する結果となった。当然、管理者は再び批判の的となった。最終的に管理者側は、「著しく共同体の常識に反する」内容については伝送を行わないが、微妙な判断を要するような問題については検閲を行わないという方針を発表した。See Edward J. Naughton, Is Cyberspace A Public Forum? Computer Bulletin Boards, Free Speech, and State Action, Geogetown Law Journal, vol.81, no.2,(1992) pp.409─411

to Hideaki's Home 白田 秀彰 (Shirata Hideaki)
法政大学 社会学部 助教授
(Assistant Professor of Hosei Univ. Faculty of Social Sciences)
法政大学 多摩キャンパス 社会学部棟 917号室 (内線 2450)
e-mail: shirata1992@mercury.ne.jp