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Tool Box お気楽オーディオサークルFaradayに参加して、いろいろな主義や主張や信念について経験しました。そのなかは、有名なオーディオ評論家のお宅にお邪魔して、「その人」の音を聞くというような企画もこなしました。まあ、趣味ですから、よさそうなことは積極的に真似て、あんまり感心できないことについては「そうかなぁ(苦笑)」という態度でとりくんでいます。

ただ、いろんな方の音と私の音を比較しますと、私のところは対策のし過ぎで音の角がとれてキレイキレイ系であること、また低域の広がりと伸びにしばらくこだわった結果、音が厚ぼったくなっていることが判りました。大編成オーケストラ向けの音になってるみたいです。そこで、これからはもう少し新鮮さと軽やかさを追及する方向で弄っていく所存です。でも、やっぱり今の音が好きかも。

オーディオの楽しみって、一人で好きなように機械を弄くれて、それぞれに深遠な理論やらなんやらがあって、そういう工作作業の末に「音も出る」というところにあると思います(笑)。この部屋は、作って楽しむオーディオまとめた「工作室」です。


私の人生2台目の自作アンプ

circuit

電気回路にすごく詳しいFaraday田中さんに「CD Playerにヘッドホン出力が無いんだけど、うまくヘッドホンをつなぐ方法はありませんか?」と秋葉原の満世ラーメンで聞いたら、その場でサラサラと回路図を書いてくれました。最初はTrは別のもの、10kΩは47kΩ、電源は私の要望で006Pの9Vでしたが、最終的には聴感で回路図の通りにしました。回路図みればわかる人にはすぐ分かりますが、基本中の基本のエミッタ・フォロワ回路です。

CD PlayerのRCA出力インピーダンス250Ωとヘッドホンのインピーダンス100Ωをマッチングさせるものです。CD Playerの出力電圧は2Vありますから、電圧としてはスピーカーでも駆動できるわけです。ただ250Ω以下の負荷だと電流が流れすぎて壊れてしまいますし、仮に音が出てもインピーダンスが合っていないので周波数特性が狂ってしまいます。


そこで、このバッファアンプの登場。CDPの出力はkΩ級の高いインピーダンスで受けて、出力は数十Ωまで対応できます。ゲインは0なのですが、ヘッドホンでうるさいほどの音量を得ることができます。ちなみにヘッドホンはAKG K-200MkII。クラシック聴く人向けのメーカーらしいです。デッドストック品を半額で買いました。ヘッドホンもいいやつを奢ってくださいね。

AKG K-200MkII 標準小売価格 ¥13,000、周波数特性 20Hz-30kHz、感度 1mW時 103dB、許容入力 200mW、インピーダンス 100Ω、プラグ φ3.5mm/φ6.3mm、ケーブル 3m、重量 190g

こういう単純な回路の場合は部品を奢ることが高音質の鍵。Trは低雑音品でオテックの選別品。ペアで300円くらい。抵抗は非磁性の抵抗で一本200円(高ぇ)。コンデンサは当然のようにBlack Gate。これらの部品をユニバーサル基板で足を直接ハンダ付けする方式で配線しました。部品点数が少ないので総額で5000円くらいで完成できると思います。

自作のアンプは音がいい、といわれていますが、確かに良い音のように思えます。少なくとも、CDPやアンプのおまけのヘッドホン出力よりは確実に高音質です。まず、音の広がりが自然で、ヘッドホン独特の頭の中で演奏される不自然さが軽減されます。ちなみに私の人生最初の自作アンプは中学生のときに組んだ10W+10Wのステレオアンプ。実家に残っているかもしれません。

Headphone Amp
Amplifier: 三栄無線キット SA-6302A (6V6GT Single)
私のようなオーディオ電気工作好きの愛読誌は「MJ (無線と実験)」とか「ラジオ技術」。中学生の頃には「無線と実験」とか「ラジオ技術」と書いてあるのに、中身がことごとくオーディオ関係であることを不思議に思っていました。

さて、上記の雑誌などを眺めていると、必ず作りたくなるのが真空管アンプ。私のように、物心ついたときには既にトランジスター化が始まっていた世代には、未知の領域です。しかし、現在でもこれほどまでに根強く製作記事が出るところからすると、かなり魅力的な世界であることが容易に推測できます。

6V6GT Single Amp

そこで、興味を持ってから15年目にして、ようやく真空管アンプを作ってみることにしました。東京に来てから10年ほどになるのに、ほんとうに「ようやく」というか「やっと」作りたかった未知のオーディオ機器を作れるわけです。あ、完成品のほうはみんなとんでもない値段なのでとても買えませんでした

さて、Faradayの集会を途中でぬけて買い物です。「オーディオ専科」とかもまわってみたのですが、最初の一台ということで予算を4万円程度と決めていましたので、パス。三栄無線の売り場で値段的にちょうど良くて、しかもいかにも真空管アンプ然としたデザイン(というとマニアに突っ込まれそう(^^;)ということで、写真の6V6GT Singleアンプにしました。6V6GTはビーム管という種類のものらしく、Faradayのみなさんは「妙に高価な球よりもいい音するよ」と言っていたので選んだのもあります。このとき、ほとんど同じ値段でKT-88 Singleのキットもあったのですが、どうもデザイン的に抵抗があってこっちにしました。でも、結果的に言えば、KT-88にしておけば良かったかも...。

工作は講義もおわった7月末の3日間の午前中をつかって組みました。 キットのままで作らなかった点は3点。1)アースの引き回し、2)ACを3Pのインレット方式に変更、3)スピーカー端子を16φの大型の物に変更。これらの変更のおかげで、キットなのに鉄板製シャーシの加工をしなければなりませんでした。これが結構大変。とくにインレットを取り付ける角穴の加工は本当に難儀しました。

作っているときに思ったことは、「こりゃぁ、たいへんだぁ」ということ。真空管アンプは半導体アンプに比較すると部品点数が少ないのですが、配線をすべてワイヤーでやらなければならないので、半田付けのテクニックや小技が要求されます。完成品のアンプがやたら高価なわけが判りました。あの価格の大半は人件費だと思います。機械で配線するのは、まず無理ですからねぇ。世の中の電気機械がすべからく半導体化したのは、性能面だけの理由ではなさそう。コストを低下させるためにはどうしてもプリント基板配線にする必要があるわけです。

Backview of 6V6GT
さて、音出し。「あれれ、低音がぜんぜんでてないぞお」というのが第一印象。しばらくバーンインCDで慣らしをしました。すると低域もそこそこに出るようになってきました。慣らし中はスピーカをつながずに動作させていたのですが、そのとき出力トランスが鳴っているのにびっくり。ちゃんと音が聞こえるのです。これって、これでいいんでしょうか?

さて、現在(10/3)では十分に低域が出るようになりました。やはりトランスのエージングにはかなり時間がかかるようです。これに関連してHOZANのTV用消磁機をツール屋さんで買いました。3500円くらい。これでCDPやアンプ各部やケーブルなどを激しく消磁しますと、劇的に音がほぐれることを確認しました。実際に磁気が減るというのもあるかと思いますが、50Hzの強力な磁気で機械的なマッサージを各部に与えることが部品の機械的ストレスをほぐすのではないかと考えています。高価なCD消磁機よりも応用が利いて効果が確実ですよ。

また、少し中身を弄りました。カップリング・コンデンサをASCの600Vに交換して、NFB回路に入っている抵抗をビシェイに交換しました。音がくっきりしましたが、まだくっきり感が足りません。おそらく入力に直列に入っているボリュームが良くないんだろうと思っています。近々、OP Ampを使ったプリ・アンプを製作する予定です。そうすれば、ボリュームを除去してしまい、パワーアンプとして使用するつもりです。

あと、管球アンプはやはり球が命ですねぇ。6V6GTはGEのものに変更したところ、力感とレンジ感が向上しましたし、12AU7Aは、明らかにLUX KIT補修用の裸球が優れていました。ちょっと高かったけどTELEFUNKENのECC82もかっちりした音にしてくれます。



Amplifier: 三栄無線キット KT-88SS (KT-88 Single) 芦沢バージョン

このアンプは借り物です。Faraday芦沢さんが、私が6V6GTを買う少し前にやっぱり三栄無線で購入したものです。値段は私のアンプとほとんど同じくらい。でも、両者を比較してみると、シャーシの作りといい、球の存在感といい、どうもKT-88の方がお買い得のような気がします。ただ、縦長デザインってのがどうもねぇ...。ただ、音を聞いたら、やっぱりこっちにしておけば良かったと後悔しました。


このアンプも芦沢さんが、独自に手を入れています。彼の話によれば、1)ラグをできるだけ使わずにソケットの端子に部品を最短距離で配線、2)抵抗をすべてフィリップス製の金属皮膜のものに変更、3)自己バイアス回路がKT-88から遠いところに置かれていたので、KT-88のソケットに直接配線等です。とくに自己バイアス回路のCとRがKT-88から遠くに置かれているのは、私の目から見てもちょっと問題。初心者向けのキットだから組み易さを主眼に実体配線図を作っているんだと思います。

で、音ですが、こっちは張りのある骨太な表現、豊かな低域で、私が考えていた真空管アンプのサウンドです。製作技能が優れている芦沢さんが手を入れていることを差し引いても、低域の出方はこちらの方が好み。大きな真空管の存在感も合わせると、こっちにしておけば良かったと思います。ああ、どうしよ。6V6GTの他にもう一台KT-88のアンプを組むことになるのかなぁ。


Speaker: JM Lab Micron Carat 中身編
さて、前のページで紹介していたJM Lab. Micron Caratの中身です。買って1年くらいして、ユニットを取り外してネットワークを弄ろうとしたら、片側のネットワークが実にいい加減に作られていることがわかりました。具体的にはコイルの取り付けがフラフラに行われていたのです。これでJM Labに対する私の信用はがた落ち。自分でキチンと付け直して、プリント基板にOFC銅線を裏打ちしました。これでとりあえず私のスピーカーは大丈夫。あなたのスピーカーも開けて調べてみた方がいいかも。

写真は、外観とネットワーク。鉄心入りコイルだったことがちょっとショック。あと抵抗がセメント抵抗なので、これはいずれもっと良い抵抗に取り替えることになると思います。コンデンサはEROのものが使われていました。緑色のやつです。白いコンデンサにはブランド名がついていなかったけど、どこのだろう?ネットワーク中央部のコンデンサはバイポーラ型らしいのですが、金属筒の周りに金属箔がスパイラルに巻きつけられていてそれを樹脂でモールドしたような外観。

右の図はネットワーク回路の概念図。表記は部品に書かれていたものです。CとRの定数は部品の表示から大体判るのですが、コイルは不明。うちのテスターではインダクタンス(H)は計れないのです。残念。JM Labのカタログでは、このスピーカーのクロス・オーバー周波数は3kHz。減衰量は18db/Oct。ボーカル帯域にあたる部分で、かなり急峻な減衰です。しかし、つながりなどに不自然さは感じませんし、むしろ他の同程度のスピーカーに比べると良い音でしたので、ネットワーク回路部品の定数は、かなり技巧的に決定されていると判断されます。

さて、Faraday芦沢さんの指導を受けまして、ネットワーク部品もまた変更しました。セメント抵抗は、DALE社の無誘導巻線抵抗に交換しました。ずっしりと重くて黒い抵抗で、さすがに高級感があります。音の変化は劇的。これは「交換せねばならなかった」とすぐに思いました。やはりセメント抵抗はいかんです。あとコンデンサー類をすべてASCの300Xに交換しました。部品の大きさがかなり大きくなってしまったので、基板に乗るか心配でしたが 何とか乗りました。基板の上に載せましたが、部品のリード線を直結するような感じで配線するのがコツです。基板はあくまでも部品を支えるためと考えてください。

Network circuit

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