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白田の情報法研究報告

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* はじめに *

何をしているのか、よくわからないといわれたりする私の研究について、広く皆さんに知って頂くために、研究している内容をリアルタイムに提供することを目的としてここを開設しました。

私の故郷延岡 名物「鮎梁」の朝

11月の頭に帰省してきました。9月のように暑かったです。相変わらずコピーライトの史的展開の方の直接販売受け付けてますので、よろしく(^^)/。あと10冊ほどが捌けないのです。

さて、軽いノリが素敵な慶応大学の金子郁容先生が監修した本『シェアウェア --- もう一つの経済システム』NTT出版 2600円 を帰省中に読みました。これは良い本ですよ。立ち読みでもいいからたくさんの人に読んでもらいたいです。「貨幣による人間関係の数値化と切断が今の社会の根本的な問題の一つになっている」とつねづね思っていたのですが、この問題への指針を提示しているところがすばらしいです。

ソフトウェア開発へのプロセスへ参加する立場を購入する、というアプローチからのソフトウェア使用料の位置づけは、上記の問題を逆転させています。私は、オープン・ソース・ソフトウェア(OSS)運動も同様の位置付けができると思います。

そこでは貨幣の交換こそ生じていませんが、現在の経済システムでは、労働時間と貨幣は変換可能ですから、ある人がOSS活動のために幾ばくかでも時間を割けば、その人はシェアウェア作家への献金と同じことをしていることになります。

OSS運動も もはや無視できない規模に拡大してきているようです。CNET.COMの記事を読んでみてください。

少し話がずれます。

「金さえ払えば」というのが貨幣経済の基本的な仕組みですが、このシステムが純粋化してしまった結果、拝金主義と人間関係の断絶が問題になってきています。かつての商店街では、「顔」でツケが利き、「顔」に応じて売価が変動するのは当たり前でした。そこには、経済学で言うような継続取引で形成された「信用」に止まらない人間的な「信頼」があったわけです。そうした人間関係を基礎にする経済においては、傍若無人の経済活動は不可能だったわけです。

人間関係に応じて結果が変動する経済は数値モデルにはなりません。また、別の見方をすれば、売り手が客に応じて態度を変えるということですから、「差別」というようなキーワードとも絡んでくるでしょう。だから、貨幣経済が純粋化することは望ましいのかもしれません。しかし、いまの世の中を見ていますと、社会から受け入れられなければ、いくら金を持っていても生きていけない社会システムの利点についても検討しなければならないような気がします。

たとえば30万円のバッグを買いにきた女子高校生に「お嬢さんには、まだ相応しくないですよ」と拒絶するだけの見識が、「一流ブランド」を謳う商店に備わることを期待するわけです。

* 注意 *

ここに掲載されている文書の内容は「無保証」 です。従って、ここに掲載されている文書は「見本」であると御理解ください。また、御意見・御批判は歓迎しますが、それらは必ず「完全版」について行って下さい。完全版はポストスクリプトファイルDVIファイル、またはPDFファイルで提供します。ポストスクリプトやDVIファイルが必要な方は私にお手紙ください。個別にファイルをさし上げます。

エキスパンドブックやPDF等の電子テキスト一般の読み方についての解説については、 こちらをご覧ください

latex2htmlがうまく使えなかったので、自前のコンバータを作って LaTeXの原稿からHTMLファイルを作成しています。このため、LaTeXで使用される記述法を完全にHTMLに置き代えられていないので、時々、意味不明の記号が残っていたりします。

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    * 履歴書
      私を雇ってくれそうな貴方のために。

    * 小論集
      私が過去にfj.*に向けて書いた記事の中で、エッセイとしてのまとまりがあるものを抜粋して掲載することにしました。今後、もし時間が取れれば書き下ろしも増やしていきたいと思っています。

    コンピュータ・ネットワークにおける自由と倫理, 1998年11月21日, 明治大学情報科学センター情報教育研究会にて報告.
      ある夏の日、私に「情報倫理」について話すように、という依頼が来ました。「倫理学者でも哲学者でも、まして倫理について人に話すほどエラくない私になんで?」「だいたい、情報倫理ってなんだ?」と思いましたが、私が「ハッカー倫理」なんて題した論文を書いたことがあったからみたいです。さて、それから「倫理」や「哲学史」の本を色々と読みながらにわか勉強です。結果的には、そのおかげで「面白い」(と皆さんがおっしゃる)講演になったようです。

      明日から、私自身が倫理的にならないといけないような気になるので、倫理の研究はあんまりうれしくないですね:-)。

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    判例解説 Cubby, Inc. v. CompuServe Inc., 776 F.Supp. 135 (1991), 「アメリカ法」1998-1, 1998年7月31日
      日米法学会の邦語機関紙「アメリカ法」に判例解説が載りました。依頼があったのは、去年のたしか9月ですから、もう一年前です。依頼時に紹介する判例も指定されたのですが、その時点でCubby事件は、すでにあちこちで紹介されてしまっていた判例でした。事務局に問い合わせてみたら「理事会の決定ですから」ということで、そのまま書く事になりました。脚注(1)に掲げられている先行研究の焼き直しになっていることは否定できません。

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    * もう一つの著作権の話 --- 中学生、高校生のための著作権の基礎理論 ---, 青空文庫,1998年7月
      青空文庫には、私の論文がいくつか収録されています。呼びかけ人の一人である富田さんの依頼で「著作権の原理と現代著作権理論」を収録することになったのですが、これは、講演原稿なので必ずしも読みやすい内容ではありませんでした。また、青空文庫の掲示板「みずたまり」には、「著作権の原理」を読んだ中学生の方から、「難しい」という書き込みがされていました。そこで、もう少し整理して、わかりやすく書いた「基礎理論」の本を書くことを約束していたのです。私の最初の単行本が出版された記念に、私は「中学生、高校生向けの基礎理論」の本をエキスパンドブック形式で電子出版することにしました。ボイジャーの野口さんのおかげで、こんなに立派な本になりました。
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    * コピーライトの史的展開 [知的財産研究叢書2],信山社,1998年7月
      博士論文の内容が本になりました。私の最初の単行本になります。売り物なので全文公開はできませんが、前半の内容は「コピーライトの史的展開」として、学内雑誌に掲載したものを加筆訂正したものです。だから、こちらをご覧になって、買うに価するものかどうかご判断ください。また全体の要旨は、こちらでご覧になれます。また「はしがき」部分のPDFファイルを準備しました。

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    * アメリカ著作権理論の起源 -- アメリカにおけるイギリス法継受の一事例 --, 報告用 手許資料, 英語版 (English version), 1998年6月6日 比較法学会第61回総会 英米法部会にて報告.
      京都の同志社大学で行われた比較法学会で発表してきました。内容は博士論文のなかでも「比較法」的観点から面白いと思われた、18世紀末イギリス理論がアメリカに伝播する様子を概説するもの。時間どおりに発表を終えたし、質問にもきちんと答えられたので発表としてはうまくいきました。

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    * 求人・求職活動における個人情報保護に関する報告, in インターネット求人・求職情報の現状とその課題 (中間報告書), 社団法人 全国求人情報誌協会, 1998年3月
      じつは昨年からインターネットにおける求人・求職活動に関する研究会に参加していたのです。これはその中間報告書に収録されたもの。就職活動の厳しさはこれから増すばかり。皆様も私も。はぁ...。

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    * 著作権の原理と現代著作権理論, 1998年1月31日 比較法史学会関東部会、2月2日 国際大学グローコム にて報告
      いろいろとあって、似たような内容で「研究報告などしなさい」と言われたので、今の自分の思うところをぶちまけた報告。

    * 英米法系コピーライトに関する歴史的研究, 1997年5月
      表題と目次と要旨だけ公開の私の博士論文。5年間を費したバカ長大論文の結末は原稿用紙約1300枚!! 1998年1月7日についに口述試験をやりまして、どうにか博士号を取得することができました。

    要旨
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    * 情報テクノロジーの進展と法的課題 in 堀部政男・編著, 情報公開・プライバシーの比較法, 日本評論社, 1996年12月
      情報公開とプライバシーに関心があり、おまけにお金持ちな貴方のために。

    * アメリカにおけるインターネットへの司法権力の介入: IAJ News, Internet Association of Japan, Vol.3 No.1, 1996年4月
      エッチがダメになった背景にはどんな事情があるのか知りたい貴方のために。

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    * 比喩・概念・法 ---仮想空間を切り分けるもの(1)---: Smart Community, Smart Community 研究会, 1995年11月
      「サイバースペース」とか「スーパーハイウェイ」とかいう言い方の違いのなかになんか意味があるの?という貴方のために。

    *アスペン・サミット オンライン ---ネットワーク時代の政府と共同体の役割---: Smart Community, Smart Community 研究会, 1995年10月
      アメリカのネットワーク関係団体ってどんなことをしているの?という貴方のために。

    *ハッカー倫理と情報公開・プライバシー:「高度情報化の法体系と社会制度」 科学研究費補助金・重点領域研究報告書, 1995年3月
      ハッカーは犯罪者であると思っている貴方のために。
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    *ネットワーク上の名誉毀損と管理者の責任: レポート, 1994年4月

      オンラインで罵倒されたことがある貴方のために。[注意!!]このレポートで言及している「ニフティサーブ名誉毀損事件」に関する最初の判決が出たために、にわかにこのレポートへの関心が復活しているようですが、次の点にご注意。
    • このレポートは訴えが提起された1994年当時に書かれたものであること。
    • このレポートは大学院ゼミの論題として書かれたもので、アメリカの名誉毀損に関する法理を機械的に適用してみた「思考実験」であること。
    • 訴訟での被告であるSysop氏による批判記事が「NIFTY-Serve FSHISO MES4 #3079からのコメントリンクそのうちFSHISO-SYSOP の「異論」は#3102」にあるとされているものの、その記事自体は未だに発見していないこと。

    *コピーライトの史的展開
      著作権ってなんだか胡散臭いなと感じている貴方のために。1996年12月をもってイギリス編が完結しました。めでたし。

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    *法令用語と判例における「情報」: 「情報の瑕疵がもたらす民事上の責任に関する調査研究」 財団法人 比較法研究センター, 1993年6月

      情報、情報っていうけど、法律の世界ではどんなふうに把握しているの?という疑問を持つ貴方のために。


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    * 個人的キャンペーン *

    NO COPY GO FREE!

    キャンペーン公式ロゴマーク(笑)
    転載や複製を大歓迎します。

    春になると、いろんな団体がいろんなキャンペーンを始めるようです。で、私も一人で勝手にキャンペーンを始めてみることにしました。NO COPY GO FREE! キャンペーンです。ソフトウェアの違法コピーを根絶するための有効な手段として、コピーしてもよいソフトウェアを振興・普及することが挙げられるでしょう。というわけで、ソフトウェアの違法コピーを根絶するために、 Free BSDLinuxのようなFree OSを使い、GNU Productsを使うように皆さんに勧めたいと思います。

    でも、私自身がFree OSを主に使っているわけではないので、説得力ないですね(苦笑)。そういう根性の足りないユーザーは、おとなしくお金を払ってソフトウェアを使わせていただきましょう。そう、貴方がFree OSのセットアップで徹夜したりヒーヒー苦しむ手間と時間を節約するためのサービスを買っているのだと思えば、市販OSなど安いもの....のはずだけど、市販OSでも徹夜したりヒーヒー言わなければならないのは何故だ?

    おもしろいもの発見!ここを見てみてください中古販売撲滅キャンペーンの理論的無茶苦茶さがよくわかるパロディです。目的を見失った著作権至上主義の行きつく先。

    もう一つ勝手にキャンペーンを始めることにしました。プロメテウス・キャンペーンです。「NO COPY GO FREE!キャンペーン」は、まだコンピュータというものに先入観のない新人をいきなりFree OSに誘導することを狙っているのに対して、こちらは、それなりに時間や手間をかけて作り出した、自分のコンテンツをできるだけ自由に広くばらまこうという奇特な志をもった人たちを増やしていこうという活動です。ギリシャ神話のプロメテウスの話を知らない人は、こちらへ。

    プロメテウス・キャンペーンに賛同していただける方のために、ロゴや宣言文を収めたアーカイブを準備しました。ここをクリックしてください。promethe.lzh (10k) があなたのパソコンに転送されます。自由に使ってやってください。

    Prometeus

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    * リンク *

    * 日本の情報法関連のリソースが最も豊富に集められているサイトといえば、明治大学の夏井高人先生のページが代表的なものでしょう。継続的な更新作業に頭が下がります。

    * 著作権法に基づく保護期間が満了した作家の作品を、ボランティアの人々が思い思いに入力して電子的なテキストを作り、ネットワークで公開するという活動が始まっています。青空文庫です。優れた文化遺産をネットワーク上に展開するこの活動は、新時代の文芸復興を促すものと期待しています。

    Aozora logo

    そうそう、似たような活動といえば、 Project Gutenbergを忘れてはいけません。こちらもどうぞ。

    * とっても悪筆で、枠の中に小さな字で何事か書きこむことがたまらなく苦痛なLaTeX使いの貴方に朗報!!フリーのプログラマ 山口志義夫さんが 履歴書そのまんまを印字してくれるスタイル を作って下さった。就職活動で大量の履歴書を作成しなきゃならない貴方に必携!! ただし、"gzip"と"tar"がなんだかわからない人には使えない。

    * 大変立派なオンライン法令集を作ってらっしゃる福山平成大学の 吉崎暢洋さん。貴方のブックマークにもぜひとも登録して下さい。

    * ハッカーについて誠実に取り組んでいる東北大学の 山根信二さん。彼の「ハッカーに関するリンク集」には、上記の私の論文でも使った文献がリンクされていてとっても便利。

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    * 付録 *

    タイトルページを短くするために、「付録」を別ページに移動しました。参考資料や、私の雑文、秀丸のマクロなどがあります。

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    Counter 白田 秀彰 (Shirata Hideaki)
    日本学術振興会 特別研究員
    (Research Fellow of the Japan Society for the Promotion of Science)
    一橋大学 第二研究棟403号(内線8634)
    mailto:hideaki@higashi.hit-u.ac.jp